5年間一緒に暮らした男性が突然くも膜下出血で倒れ、訪ねてきた刑事によると男の運転免許証は偽造で名前も住所も存在しない。医者だという彼の職場にも、彼の痕跡はなかった。では一体彼は誰なのか?長澤まさみと高橋一生が主演の映画『嘘を愛する女』はこんな風に始まる。この映画、実際に起こった事件から着想を得て生まれた話とのことで、気になったので調べてみました。
1991年の朝日新聞の記事「夫はだれだった」から着想
この映画元になった朝日新聞の記事は、1991年11月4日に掲載された「夫はだれだった」という記事。
映画『嘘を愛する女』の公開日の翌々日の2018年1月22日に、X(当時はTwitter)で「朝日新聞公式インスタグラム」というアカウントがポストしています。
記事の内容を要約すると。
- 東京都世田谷区の病院で1991年5月山森 将智家(やまもり まさちか)と名乗る50歳の男性がガンで死亡。生前、彼は京都生まれで職業は医師と語っていた。
- 男性には5年間一緒に暮らした内縁の妻A子さんがいた。
- 死ぬ間際に男性が医師でないことに妻A子が気付き問いただすと「死ぬしかなかった。本当は生きていたかったんだ」と言い残す。
- 以下の遺品のついては3点とも該当者なし。偽造だった。
- 「昭和15年京都市左京区で出生」と書かれた戸籍抄本のコピー
- 昭和44年東大医学部卒業の証明書のコピー
- 浜松医科大学職員の顔写真付き身分証明書
- 他の遺品は。
- ドイツ語の書き込みがある医学書やノート
- 簡単な診察器具のカバン
- 男性によく似た軍服姿の父と母の写真
- 原稿用紙700枚に及ぶ書きかけの小説
この記事が掲載された時点では、男性が誰だったのか手がかりは見つかっていない。この書きかけの小説がどんなものだったのか知る由もないですが、かなり気になるところ。映画ではこの小説が彼の正体を探るヒントになっています。
男の正体はもう一人の妻によって明かされるも
新聞に記事が掲載されてから情報が寄せられ、死亡した男性にはA子さん以前にもう一人妻がいることが判明。その妻も山森将智家を探していたのです。彼の正体は神奈川県内に本籍を置く電気工事士だったようです。
詳細については、以下の記事に詳しく書かれています。
神奈川県の前妻の元から失踪し、A子さんと出会うまでの20年はどう暮らしていたのか?何を思って偽名を使いA子さんと生活を共にしたのか?誰にもわからない壮大な謎だけが残る話です。
嘘を愛する女は動画配信サービスで配信中
映画のストーリーは脚色されて、事実とは違う着地になっています。前半の展開と怒涛のラストが面白かった。あとは謎の女の川栄李奈がなんだかカワイイです。
映画『嘘を愛する女』は絶賛配信中。わたしはU-NEXTで見ました【PR】。
↓
朝日新聞の天声人語にも、朝日新聞の記事からヒントを得て脚本を執筆し、コンペを勝ち抜き映画化に至るまでのことが書かれています。2018年2月2日の朝刊に掲載。
http://nie.asahi.com/katsuyou/tenjin/2018/2018020213341710.pdf
コメント