雑誌の「巻」「号」「通巻」とは何か?何を表しているのか?

雑誌の背表紙に小さい文字で書いてある、第◯巻 第◯号 通巻〇〇号。
この「巻」「号」「通巻」とは一体どんなルールがあり、どのように運用されているのか?
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」で特集していました。

興味深い内容だったので、まとめておきます。

巻、号、通巻の元々の由来、意味

雑誌の元々の始まりは、例えていうなら現在のディアゴスティーニのような形態でした。
こちらの「週刊ムーミンハウスをつくる」のように、毎週発行される分冊された本をまとめると、完結するような形体です。

この場合「週刊ムーミンハウスをつくる」全体が「巻」
中身の毎週発行される分冊を「号」

というような考え方に基づき決めています。

科学雑誌「Nature」などはこの考えに基づいていて、今でも2号目の最初のページが300ページのように1号からの続きと捉えたページ表記となっているようです。

もともとの雑誌は、この例のように年間購読を想定したものなのです。
現在そうなっていませんが、慣例的に巻と号を使っているのです。

現在の日本の雑誌などの場合、巻は年度

日本の雑誌の場合、

創刊号を第1巻 第1号 通巻1号とし、

年に1回「巻」が繰り上がります。
現在雑誌では「巻」は年度の単位として多く使われています

月刊誌であれば、1月に出版された場合、1年経つと翌年1月には

第2巻 第1号 通巻13号

2年過ぎると

第3巻 第1号 通巻25号

という具合です。
巻・号・通巻を見れば、その雑誌の歴史(どれくらいの年数で何誌発行されているか)が分かるのです。

号・通巻は、増刊も加わった数

流通の関係から、雑誌には雑誌コードという番号が割り当てられています。
増刊号が出版される場合、本誌と同じ雑誌コードで管理されるのです。

マンガの表紙の号

マンガ雑誌などの背表紙などに大きく書いてある38号などの数字は、その年に出版された増刊号を含まない号数です。
たとえば、巻・号の号が第42号で、大きく書いてある数字が38号だった場合、本連載が38誌出ていて、増刊が4誌出ているということになります。

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ちょっとややこしいですが、そのようになっています。

日本の雑誌の場合の表記をまとめると。

  • 巻 年度ごとに繰り上がるので、創刊からの年数が分かる
  • 号 その年度内に発売された数(増刊号を含む)
  • 通巻 創刊号からの通算数(増刊号を含む)

ということです。

 

次は雑誌業界で起こった、「巻」「号」「通巻」に関する2つの大きな出来事を紹介していました。

1951年問題

現在の雑誌は12月に1月号が出るような形式がとられていますが、1951年当時はこれがドンドンとエスカレートしてしまい、10月に1月号を出してしまうようなことが起きていました。

文芸誌などではなかったのですが、子供向けの雑誌などにに多かったようです。

そこで出版業界で話し合いがおこなわれ、これを正そうと全員で一度「足踏み」することを1951年1月に実施。

少女クラブ」という雑誌では、「新年特大号」、その翌月に「お正月特大号」という号が発売されたという、おかしなことが、そこかしこであったようです。

発行日調整号などと記されている雑誌もあり、この当時の雑誌は一斉にこんな感じのことが行われたそうです。

2009年問題

巻・号・通巻の他に、発行発売という日付が背表紙に書いてあります。
2009年以前は、本当に出版されたリアルな発行日や発売日が書いておらず、両方共に未来の日付が書いてありました。

雑誌の場合発行日に関しては、現在以下のようなルールになっています。

  1. 週刊誌 : 発売日から15日先までの月日
  2. 旬刊誌・遠週刊誌・月2回刊誌 : 発売日から1ヵ月先までの月日(月・旬)
  3. 月刊誌・隔月刊誌 : 発売日から40日先までの月号
  4. 季刊誌 : 発行期間を示す季節(その季節を表す文字)
  5. 増刊号 : 発売日から〈40日先まで〉の月/日号、もしくは月号。ただし、月刊誌・隔月刊誌・季刊誌の増刊は本誌に準じる

 

発行の年月日は、発売よりも先の未来の日付になっています。

なぜこんなことが行われているのか?
ラジオでは発行日は「鮮度」「賞味期限」などを表しているなどと言っていましたが、雑誌が古く見えないようにする工夫だったようです。

2009年に業界で話し合いが行われ、リアルな発売日を記載しようということになりましたが、ハッキリとしたルールが作られなかったようで、各出版社で運用方法がバラバラになっているのです。

講談社の場合

9月5日号 9月5日発行 8月22日発売

のような表記にしました。

リアルな発売日が8月22日、9月5日が賞味期限みたいな感じです。

小学館・角川は発行発売を一緒に

9月5日号 8月22日発行発売

のように、発行と発売を合体させた表記にしています。
月号数を賞味期限にした感じですね。

集英社は発行を消去

9月5日号 8月22日発売

集英社は発行という文字を無くす方法を選択。

 

このように各社別々の考えで、表記の直しが行われました。

巻と号にまつわる、珍事件

番組後半ではこんな珍事件も紹介されていました。

誤植に気付かず100号戻る珍事件

現在でも発売されている「漫画ボン」。
どんな内容のマンガ雑誌かは、各自検索してみてください。

1969年創刊の月刊マンガ雑誌なのですが、1994年の9月号から10月号になる時に事件が。

1994年9月号の通巻は、339号なのですが、
1994年10月号の通巻は、240号と100号戻ってしまったのです。

完全に出版社の誤植で、しかもそのまま現在も通巻は間違ったまま数えているそうです!

数年前に出版された通巻500号記念号も、間違ったカウントのまま発売されていたとのこと。気が付かないものですね。

誌名は変わっても通巻は引き継がれた「マンガくん」

出版社が倒産し、編集部が別の出版社に移籍して雑誌名をそのままに発行を続ける場合があります。
その場合、巻号通巻の数字はリセットされるのが通常。

また出版社は変わらずとも、リニューアルで雑誌名を変更なんて場合も、当然リセットされます。

しかし漫画雑誌「マンガくん」は違いました。

「マンガくん」で創刊(1976年)

「少年ビックコミック」に変更(1979年)

「ヤングサンデー」に変更(1987年)、週刊化され

「週刊ヤングサンデー」

と誌名を変えて行きます。

巻数と号数は雑誌名が変わるたびにリセットされますが、通巻数は「マンガくん」からの通巻号数として数えられていました
通巻1162号で休刊。「マンガくん」から数えて31年で幕を閉じました。(参考:wikipedia 週刊ヤングサンデー

編集部の心粋が伝わってきますね。

有害指定図書逃れで猫特集

有害指定図書を逃れるためにこんなこともあったようです。
東京都の場合、有害図書のことを「不健全図書」といいますが、この制度に対し出版倫理協議会は

不健全指定を3回連続、もしくは1年間に5回以上受けると、一般書店で販売できなくなる。

という自主規制のルールを作りました。

一般書店での取扱ができなくなるということは、実質休刊や廃刊になってしまいます。

そこで出版社が注目したのが、この3回連続という部分。
この3回連続としてカウントするのは、通巻数を基準にしています。
通巻数なので、増刊号もカウントされるのです。

不健全指定を受けた雑誌が、「猫特集」などのいつもの内容とは全く関係ない増刊号を発売し、この3回連続というルールを逃れたりしたこともあったとか。
週刊「エロ〇〇」という雑誌が、増刊号で「猫大好き特集」というまったく関連の無い内容を挟み込んだりするわけです!なかなか考えたものです。

 

とこんな感じの内容でした!
放送内容は、TBSラジオクラウドで聴くことができます。

TBSラジオCLOUD

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